
若い時は病気など少なかった人であっても、年を重ねるごとに病気や怪我で医療機関を利用する回数が増えていくのは仕方がないことです。不慮の事故や大病を患った場合などは年齢に関係なく高額な医療費の負担が発生する可能性があります。
そこで、今回は確定申告時期に多くある質問の一つでもある「医療費控除」についてお話したいと思います。
1.誰のための医療費なのか
まず、どのような医療費が対象になるかというと「納税者が、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること」と規定されています。簡単に言えば、自分、一緒に暮らしている配偶者(妻・夫)、子、親といった解釈で問題ありません(必ずしも同居している必要はありません)。
2.いつの期間に支払った医療費なのか
集計する期間は、確定申告の対象となる1年と同じ期間になります。「その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること(未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象となります)」と規定されています。1月1日~12月31日までに支払いを済ませた医療費が医療費控除の対象になると解釈ください。
3.どんな医療費が対象になるのか
最も多いものは、医師等による診療または治療を受診したことによる診療費・治療費です。ついで、治療または療養に必要な医薬品の購入費(処方箋をもらって薬局で受け取る場合等)があげられます。更には、介護保険制度において、要介護者または要支援者が受ける居宅サービス等で看護、医学的管理の下における療養上の世話等に相当する部分の支払いとして利用者が負担する金額についても医療費控除の対象となります。なお、これらの居宅サービス等を提供する居宅サービス事業者等が発行する領収証には、基本的に医療費控除の対象となる金額が記載されることとなっています(よって医療費控除の対象になる記載がない場合には、その居宅サービス事業者へお尋ねください)。
4.いくらの医療費控除が受けられるのか
医療費控除ができる金額は以下の算式により求められます。

なお、医療費控除を受けることを忘れてしまった場合でも5年以内であれば申告をして受けることができます。医療費が多く出た年は忘れずに医療費控除の特典を受けるようにしてください。また、これと類似した制度で「セルフメディケーション税制」というものもあります。こちらは別の機会に取り上げさせていただきます。